もし一生独身なら貯金はいくら必要?

6月15日 15:54
ファイナンシャルプランナー・江原さとみさん

 

「早く結婚しなきゃ!」と思いつつ、月日はあっという間に過ぎてしまうもの。もちろん、シングルライフの良さはあるけれど、やっぱり将来が心配になってしまうのも本音です。

ファイナンシャルプランナー・江原さとみさん

そこで、FPオフィスなでしこ代表、ファイナンシャルプランナーの江原さとみさんにお話をうかがい、シングルの人生設計について考えてみました。

常に現在の年収の半分は蓄えが必要

漠然と将来に不安を抱えている人は多いと思います。中でもシングルは、人生のパートナーという相談相手がいないところがつらいところ。そんなシングルからの相談は結構あるのでは?

「はい、確かに私のところにも、多くのシングルの方からのご相談があります。30代、40代くらいですと、まだ結婚するかもしれないという思いもあるようで、なかなか人生プランを立てづらい面はあるようです。しかしいずれにせよ、今できることのベストはつくしておいたほうがいいですね」

 

――具体的にシングルの相談内容とは、どんなことが多いですか?

「大きく分けて2つ。やはり貯蓄の話と、マンションを購入するかどうかのご相談が圧倒的に多いですね。そこでまずは、貯蓄のほうからお話をさせていただきますね。

確かにシングルは既婚者よりも気軽で、人生を楽しむためのお金を使いやすいものですが、その分、気付いたら散財してしまい、十分な貯蓄ができていないのではないか、という不安があります。

やはり老後までに、ある程度の貯蓄があったほうがいいものです。ましてや夫婦ふたりならば奥さんがパートや派遣社員、正社員などで働きに出ることによって世帯収入をコントロールすることができますが、シングルの場合はどんなに頑張っても自分ひとりの稼ぎですから、今後、収入が大幅に変わるということはありません。

自分がこれからいくら稼ぐことができるのか、そして何が最低限必要かを、一度しっかりと書き出して計算してみるといいでしょう。明確に数字が分かると、やるべきことが分かり不安が和らぎます。

いくらくらい貯蓄したほうがいいかは、年金の状況や、ご両親の面倒を見る必要があるかなど、人それぞれですので一概には言えないのですが、最低でも現在の年収の半分程度の金額は常に備えておいたほうがいいと言われています。それは引っ越しや、急な入院などのイレギュラーなできごとに備えるためです。

入院といえばシングルの場合は財産を残す相手がいないので、死亡保険の金額は抑えめでOKですが、入院に関する保険にはしっかりと入っておくことも安心につながりますね」

 

――貯蓄が必要と分かっていても、なかなか難しくて……。簡単な方法はないですか?

「老後の備えだって必要ですから、やっぱりお金はあるに越したことはありません。とはいえ、貯蓄といっても急に行うのは難しいと思います。そこでまずは電話、携帯電話、スマホのプランから見直してみてください。

電話の発信は基本的には無料や安い通話サービスのものを利用するようにし、携帯電話、スマホは必要最低限のプランへの乗り換えをしてみてはいかがでしょう。特に、いまだに昔加入した際のプランのままにしていて、高い料金を毎月払い続けている方は結構いらっしゃいます。

また、シングルの方の場合、どうしてもかさみがちなのが外食代や習い事の月謝代です。本当に自分のライフスタイルに必要なものなのか、見直しをしてみてください。

それでも節約できるのは月々せいぜい1~2万円ですが、大切なことは続けられるかどうかです。無理な貯蓄は続かないものなので、気軽にできるところから貯蓄を習慣づかせてみましょう。

この1~2万円の生活費を削減する習慣には、もうひとつの効果があります。それはいざ年をとったとき。ほかの人は月25万円を必要とするところ、23万円で抑えられるようになります。これは年間で24万円の生活費削減となりますから、とても大きいですよ」

そのくらいの節約ならばできるかも! 一度貯金が楽しくなれば、さらに貯金してみようという気も起こるかもしれません。

 

シングルに大切なのは現金。収入アップも心がけて

――もうひとつの相談、家の購入についてですが、家賃を払い続けるよりも、自分の持ち家があったほうが安心な気がします。

「私個人としては、シングルの方でしたら購入はおすすめしません。万一、病気かケガをして働くことができなくなったり、仕事でリストラにでもあえば、たちどころにローンの返済ができなくなります。夫婦でしたら夫の収入が減るようなことがあっても妻がフォローすることもできますが、シングルはそうもいきません。

ローンの返済に困り、マンションを売ろうとしても、マンションは住んだ途端に中古になりますから価値は大幅に目減りします。また、賃貸に出そうとしてもなかなか難しいのが現状です。

終のすみ家を手に入れるのは安心につながりますが、自分が年をとったときに果たして、そのシングル用のマンションに住み続けたいかどうかという問題も。また、万一、結婚したい相手に巡り合った場合、シングル用のマンションでは住むことができません。

ローンを組まずに購入できるだけの資金があり、自分のビジョンがはっきりとしていれば購入するのもよいのですが、一時の気分で無理をして購入するのはおすすめできないのです。

 

また、シングルとして生きていくのに大切なのは現金なのです。例えば、みなさんが高齢となる頃、高齢者向けのサービスはもっとよくなっている可能性があります。高齢者向けの住宅もどんどん出てくる可能性もあるわけで、そうなったときに家の購入で現金を使いはたしてしまえば、新しいサービスを受けることができなくなります」

――貯蓄の大切さは理解してきました。もうひとつの不安は、これからも働いていけるのかな? ということです。収入がなければ貯蓄もかないません。

「今、シングルの方に必要なことは、自分のキャリアアップです。シングルが世帯収入を上げるには、自分自身の収入を増やす以外ありません。

 

できるだけ長く働くためにも、やはり資格の取得を考えるのは大きな手です。その際、いくら人気のある資格だからって、今までの仕事とまったく関係のないものでは意味がありません。その資格で本当にやりたいことがあるのか、しっかりと考えてみてください。

個人的には、今までの自分のキャリアを生かせる資格のほうがいいと思います。なぜならば、そのほうがお給料を着実にアップさせことにつながるからです。

日本人はお金の話が苦手ですが、お給料アップを考えるのは大切なこと。安易に転職を繰り返すことで、逆に収入がどんどん減っている方も多くいらっしゃいますので注意が必要です。

派遣で働く際にも、時給の100円、200円にしっかりとこだわることが大切。例えば2つの仕事の候補があり、その時給には200円の差があるとします。1日に7時間勤務として、200円×7時間×週5日×4週×12カ月、そしてそれが仮に30歳から60歳まで続くと計算しましょう。

最終的に30年間で、時給200円の差が1,008万円もの差となることになります。これは大きいですね。

シングルは自分ひとりで生きなくてはいけませんが、その分、収入も支出もシンプルで計算しやすいもの。今一度、見つめ直してみてください」

同年代の既婚者は、養育費のため、夫婦の老後のためと必死に節約&貯蓄に励んでいます。でも、シングルだと“お金に余裕あり!”と無頓着になってしまって、収入を越えるぜいたくをしてしまうことも。そこに人生の落とし穴があるのだと、しっかりかぶとの緒をしめるところから始めてみましょう。

 

■プロフィール
ファイナンシャルプランナー 江原さとみ
FPオフィスなでしこ代表。ソフトウエア会社、証券会社勤務を経て、FPとして独立。女性がしあわせな人生を選択できるためのマネーセミナー『働く女性の貯蓄術セミナー~じぶん年金をつくろう~』は、年金や貯蓄など丁寧かつわかりやすい講義が人気を呼び、開催実績25回以上、受講者は140人を超える。また、コラムの執筆やFP相談業務も積極的に行う。

(OFFICE-SANGA 平野智美)

出典:マイナビニュース

 

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